2015年9月10日木曜日

この夏、北に来て

岡野さま


 こんにちは。
 このたびは往復書簡の提案をお引き受けいただき、ありがとうございます。季節ごとに一度の更新ということで、滑り込みで2015年夏の分を書きたいと思います。

 さて、この夏。
 まず、暑かったですね。私は4月から北のほうに住み始めたのですが、アパートが夏よりも冬のための設計で、仕事から帰ってくると部屋にものすごく熱がこもっていて、北に来たのに全然涼しくない! とひとりで憤っていました。でも夜になると一転して涼しい風が吹いてきて、ああやっぱり北の地に来たんだなあと感慨深げに窓辺で涼んでいたりしました。
 9月の今はもう完全に寒いです。長袖にカーディガンです。夏だと言い張ってこの文章を書いていますが、秋だと思います。そちらはどうですか。まだ夏ですか。

 この夏は、学芸員として初めて関わった展示が完成した季節でした。
 夏休みということで子供たちもたくさん来てくれて。館内を駆け回ったり、熱心に展示をみつめて絵を描いてくれたり、短歌のおみくじを引いて「これどういう意味ー?」とかって一緒に来たおばあちゃんと話をしていたり、プレゼントのシールをあげたら照れくさそうにお礼を言ってくれたり、にぎやかで、うれしい夏でした。仕事なので、大変なことも多いけれど、こんなふうに短歌に関わることができて単純によかったなあと思います。
 主催している短歌コンクールで、いいなあと思う歌があったので紹介します。小学二年生が詠んだ歌です。

 さんかん日弟いっしょについてきたにてるにてるとみんなあつまる(渡邉龍生/『桜実』より)

 長くなってしまいました。季節の変わり目、ご自愛ください。それでは。


藤 明日香

追伸
 つい先日発売になったミランダ・ジュライ『あなたを選んでくれるもの』のカバーに、津村記久子さんが文章を寄せられています。ぜひ見てみてください。

はじめに


 1月1日と11月11日。
 短歌が好きで、津村記久子さんと柴崎友香さんが好きなふたりの、それぞれの誕生日です。
 というわけで、往復書簡「ポッキーとプリッツ」、はじめます。